A型作業所の通所型と在宅型の違いを分かりやすく解説

A型作業所には「通所」と「在宅」の2種類の働き方がある

障がい者が働くための場として「A型作業所(就労継続支援A型)」がありますが、実は「通所」と「在宅」の2種類の働き方が存在することをご存知でしょうか。

これまで作業所といえば、主に事業所へ通所して作業する形が主流でしたが、とくに近年ではテレワークの普及が進み、在宅勤務に力を入れている作業所も増えてきています。

今回は、A型作業所の利用を検討している方に向けて、通所型と在宅型の違いについてご紹介します。

「通所型」のA型作業所の特徴

①通勤しながら働くイメージを掴みやすい

通所するタイプのA型作業所では、実際に職場となる作業所に赴いて、現地で作業を行います。

一般での就労やアルバイトと同じように通勤することになりますので、事業所への往復を繰り返すことで通勤の感覚を掴むことができるでしょう。

障がいをお持ちの方で、これまで就労に不安を感じてなかなか踏み出せずにいた方も、次の就労へ進むまでの訓練として、まずは出勤に慣れてみるところからはじめるのはいかがでしょうか。

A型作業所では週5日の通所を目安として掲げている作業所がほとんどですので、平日に作業所に通うことで、生活リズムを整えることができます。

作業所への出勤に慣れてくれば、事業所の近くを散歩したり、通所の帰りに喫茶店や買い物に立ち寄ってみる楽しみもありますね。

障がいをお持ちの方は、抱えている障害のために外出の機会が少なくなっていたり、地域社会との関わりが薄れてしまっていることがあります。

作業所へ通うことで少しずつ生活圏を広げていくと、地域で働きながら暮らしていく実感を持ちやすくなります。

②指導員や他の利用者と働くことで、対人関係の訓練になる

「A型作業所(就労継続支援A型)」は、福祉的就労という位置づけになるので、A型作業所で働く障がい者は、一般に(障がい福祉サービスの)「利用者」と呼ばれます。

作業所で働く際には、こうした利用者の就労をサポートするために、作業所全体を監督する「サービス管理責任者」、作業上で必要な手順などの指導を行う「職業指導員」、利用者の体調面をケアする「生活支援員」といった人員が配置されています。

(※実際のA型作業所の現場ではひと括りに「指導員」と呼ばれることもあります。)

通所型のA型作業所ではこうした指導員と顔を合わせる機会が多くなり、作業を進めるときにはこまめにコミュニケーションを取りながら仕事を進めることになります。

「サービス管理責任者」や「指導員」は実際の感覚で言うと、利用者側から見た「上司」に近い存在になるので、勤務中の相談や報告など、会社での上下関係を学ぶ機会になります。

また、通所型の作業所では、障がいを持った方と同じ職場でともに働くことになります。

ひとによって、病気の特性や個々人の性格も様々なので、対人コミュニケーションの訓練の場と考えておくとよいでしょう。

障がい者雇用枠での就労を考えている場合は、今後も障がい者の方と一緒に働く機会があるため、同じ職場で相手の特性を掴みながら動く練習にもなります。

作業や休憩中の会話を通して、他の利用者の方と仲良くなることもあるでしょう。

しかし、障がいの程度によっては、ひとと関わることに困難を覚えたり、気疲れする方もいらっしゃいます。

多くの作業所では、利用者同士の連絡先の交換を禁じていますが、これは利用者同士での無用なトラブルを招かないためです。

もし通所型で通われる際には、お互いの障がい特性に配慮しながら、作業所ごとのルールを守って、通所することをおすすめします。

「在宅型」のA型作業所の特徴

①通勤や職場の人間関係のストレスが軽減できる

障がいのために通勤が難しかったり、職場の人間関係でつまずきやすい方に向いているのが「在宅型」のA型作業所の利用です。

たとえば、統合失調症などの精神障がいや、身体的な障がいをお持ちの方にとって、通勤が就労へのハードルになっていることも少なくありません。

そうした場合に、A型作業所の在宅利用を検討してみるのもひとつの手です。

在宅利用のA型作業所では、主にPCを使った作業や内職が一般的で、始業や終業などの連絡は基本的に電話やメールで行います。

1日に行う作業がほぼ自宅で完結するので、毎朝、作業所へ通所する必要がなく、ご自宅の慣れた環境でA型作業所から請け負った仕事を進めることができます。

症状に波があって、職場で緊張しやすい方や、会話が苦手で人間関係につまずいてしまうという方が、在宅型に切り替えることによって勤務が続くようになったケースも少なくありません。

在宅勤務といっても、まったくコミュニケーションの機会がなくなるわけではなく、週に1回は事業所での面談の機会(最低でも月1日の出社)が設けられている場合がほとんどです。

在宅勤務とはいえ、実際に担当者と顔を合わせて話を進めないと作業の手順が分からないこともありますので、出社のルールについては採用の面談時に尋ねておきましょう。

作業所によっては、「Zoom」や「Skype」といったアプリを使用して、Web面談を行う場合もあります。

②在宅フリーランスをはじめるきっかけになる

在宅型のA型作業所での職種は、データ入力などの事務系のデスクワークや内職などが一般的ですが、なかにはライティングやウェブ制作など、フリーランスとして独立が可能な職種で募集が掛かっていることがあります。

在宅型のA型作業所では、短時間の就労で通勤時間もないため、勤務後に個人が自由に使える時間を多く取れるのが特徴です。

こうした余暇時間をうまく活用して、フリーランスとして独立するための準備に充てたり、実際に副業に挑戦して業務を請け負ったりすることで、実務経験を積んでいくことができます。

作業所によっては、資格の習得を支援する制度が設けられていることもありますので、有効活用してみましょう。

すぐにフリーランスとして独立するのは難しくても、月に数万円程度の副業のレベルまで到達することができれば、金銭的にもちょっとした余裕が生まれますし、その分野のエキスパートとなっていくことで、時間を掛けて独立を目指す方法もあります。

A型作業所に通う場合でも、目的があった方が作業にもモチベーションが生まれますので、ぜひ興味のある職種で募集を行っている作業所を探してみてください。

まとめ 通所か在宅か、適性を見極めてA型作業所を利用してみよう

A型作業所の通所型と在宅型には、それぞれのメリットやデメリットが存在します。ご自身の障がいや症状に合わせて、なるべく無理のない方法でA型作業所を使ってみることをおすすめします。

青いインク

精神障がいの当事者で、10年前に「統合失調症」を発症。現在は服薬により病状は安定し、在宅ライターとして活動中。通所型・在宅型のA型作業所の利用経験あり。趣味は本を読むこと、書くこと。文学ライター・ブロガーとして独立する道を探っています。お仕事の依頼はランサーズ(ランサーズID:BlueinK)まで。

この記事がいいね!と思ったらシェアしてくれると嬉しいです!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA